電験三種 令和5年度(2023) 下期 機械 問7 過去問解説
次の文章は,電気機器の損失に関する記述である。
a コイルの電流とコイルの抵抗によるジュール熱が (ア) であり,この損失を低減するため,コイルを構成する電線の断面積を大きくする。交流電流が並列コイルに分かれて流れると,並列コイル間の電流不平衡からこの損失が増加する。この損失を低減するため,並列回路を構成する各コイルの鎖交磁束と抵抗値,すなわち,各コイルのインピーダンスを等しくする。
b 鉄心に交流磁束が通ると損失が発生する。その成分は (イ) と (ウ) の二つに分類される。前者は,交流磁束によって誘導された電流が鉄心を流れてジュール熱として発生する。そこで,電気抵抗が高い強磁性材料や,表面を絶縁膜で覆った薄い鉄板を積層した積層鉄心を磁気回路に用いて,電流の経路を断つことで損失を低減する。後者は,鉄心の磁束が磁界の履歴に依存するために発生する。この (ウ) を低減するために電磁鋼板が磁気回路に広く用いられている。
c 上記の電磁気要因の損失のほか,電動機や発電機では,回転子の運動による軸受け摩擦損や冷却ファンの空気抵抗による損失などの (エ) がある。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
- (1) (ア) 銅損 (イ) 渦電流損 (ウ) ヒステリシス損 (エ) 機械損
- (2) (ア) 鉄損 (イ) 抵抗損 (ウ) ヒステリシス損 (エ) 銅損
- (3) (ア) 銅損 (イ) 渦電流損 (ウ) インダクタンス損 (エ) 機械損
- (4) (ア) 鉄損 (イ) 機械損 (ウ) ヒステリシス損 (エ) 銅損
- (5) (ア) 銅損 (イ) 抵抗損 (ウ) インダクタンス損 (エ) 機械損
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正解は(1)
解説
【考え方】電気機器の損失は、銅損(コイルの抵抗の熱)、鉄損(渦電流損+ヒステリシス損)、機械損(摩擦や風の抵抗)に分けられます。
■1 (ア) コイルの熱
コイルの抵抗で出る熱(ジュール熱)は、銅損です。→ (ア) 銅損
電線を太くすると、抵抗が減り、銅損も減ります。
■2 (イ) 鉄心の中の電流
鉄心の中に誘導された電流(渦電流)が流れて出る熱は、渦電流損です。→ (イ) 渦電流損
薄い鉄板を重ねて、電流の通り道を切ると減ります。
■3 (ウ) 磁界の履歴
磁化の向きが変わるたびに、前の状態の影響(履歴)で出る損失は、ヒステリシス損です。→ (ウ) ヒステリシス損
電磁鋼板を使うと減ります。「インダクタンス損」という損失はありません。
■4 (エ) 回転による損失
軸受けの摩擦や、冷却ファンの風の抵抗による損失は、機械損です。→ (エ) 機械損
答えは(1)ピヨ。
出典:令和5年度(2023) 下期 第三種電気主任技術者試験(電気技術者試験センター)機械 問7