電験三種 令和8年度(2026) 上期 理論 問12 過去問解説

問12 《電子理論(核反応)》
次の文章は,二つの重陽子による核反応について述べている。 重陽子$^{2}_{1}\mathrm{H}$は重水素の原子核で,陽子と中性子が1個ずつ結合したものである。 $^{2}_{1}\mathrm{H} + {}^{2}_{1}\mathrm{H} \rightarrow {}^{3}_{2}\mathrm{He} + {}^{1}_{0}\mathrm{n}$ ……① ①式に示す核反応式では質量数の大きい原子核が生ずるので,これは(ア)反応である。反応後の総質量は$\Delta m$[kg]だけ(イ)し,(ウ)[J]で表される核エネルギー:$5.4 \times 10^{-13}$ Jが放出される。また①式の核反応を起こすには,二つの重陽子を$4.0 \times 10^{-15}$ m程度の距離に近づける必要がある。その距離における重陽子間の静電気力による位置エネルギーは(エ) Jである。 ただし,真空中の光の速さは$c = 3.0 \times 10^8$ m/s,静電気に関するクーロンの法則の比例定数は$k = 9.0 \times 10^9\ \mathrm{N \cdot m^2/C^2}$,電気素量は$e = 1.6 \times 10^{-19}$ Cとする。また二つの点電荷$q_1$[C],$q_2$[C]が距離r[m]離れて存在するときに各点電荷が持つ位置エネルギーは$U = k\dfrac{q_1 \cdot q_2}{r}$ [J](無限遠点を基準とする)で与えられる。 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
  1. (1) (ア)核分裂 (イ)増加 (ウ)$\Delta m \cdot c^2$ (エ)$3.6 \times 10^{-14}$
  2. (2) (ア)核融合 (イ)減少 (ウ)$\Delta m \cdot c^2$ (エ)$5.8 \times 10^{-14}$
  3. (3) (ア)核融合 (イ)減少 (ウ)$\Delta m \cdot c^2$ (エ)$3.6 \times 10^{-14}$
  4. (4) (ア)核融合 (イ)増加 (ウ)$\dfrac{1}{2}\Delta m \cdot c^2$ (エ)$5.8 \times 10^{-14}$
  5. (5) (ア)核分裂 (イ)減少 (ウ)$\dfrac{1}{2}\Delta m \cdot c^2$ (エ)$3.6 \times 10^{-14}$
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正解は(2)
使う公式
質量とエネルギーの関係 $E = \Delta m \cdot c^2$(E:エネルギー[J]、Δm:減った質量[kg]、c:光の速さ[m/s]) 静電気力による位置エネルギー $U = k\dfrac{q_1 q_2}{r}$(U:位置エネルギー[J]、k:比例定数[N・m²/C²]、$q_1$・$q_2$:電荷[C]、r:距離[m])
解説
【考え方】(ア)〜(ウ)は核融合のしくみ、(エ)は位置エネルギーの計算です。 ■1 (ア) 反応の名前 軽い原子核どうしがくっついて、重い原子核(質量数の大きい原子核)ができる反応を、核融合といいます。→ (ア) 核融合 重い原子核が分かれるのは核分裂で、逆です。 ■2 (イ)(ウ) 質量とエネルギー 核融合では、反応の後の質量が、前より少しだけ減ります。→ (イ) 減少 減った質量 Δm が、エネルギー $\Delta m \cdot c^2$ に変わって出てきます。→ (ウ) $\Delta m \cdot c^2$ $\dfrac{1}{2}$ はつきません。 ■3 (エ) 数字を整理する 重陽子1個の電荷は、陽子1個分です。 $q_1 = q_2 = e = 1.6 \times 10^{-19}\,\mathrm{C}$ 距離 $r = 4.0 \times 10^{-15}\,\mathrm{m}$ 比例定数 $k = 9.0 \times 10^9\,\mathrm{N \cdot m^2/C^2}$ ■4 (エ) 位置エネルギーを計算する $(1.6 \times 10^{-19})^2 = 2.56 \times 10^{-38}$ $U = 9.0 \times 10^9 \times \dfrac{2.56 \times 10^{-38}}{4.0 \times 10^{-15}}$ $= \dfrac{9.0 \times 2.56}{4.0} \times 10^{9 - 38 + 15}$ $= 5.76 \times 10^{-14} \fallingdotseq 5.8 \times 10^{-14}\,\mathrm{J}$ → (エ) $5.8 \times 10^{-14}$ 答えは(2)ピヨ。
出典:令和8年度(2026) 上期 第三種電気主任技術者試験(電気技術者試験センター)理論 問12