電験三種 平成22年度(2010) 電力 問8 過去問解説

問8 《送電(中性点の接地方式)》
一般に,三相送配電線に接続される変圧器はΔ-Y又はY-Δ結線されることが多く,Y結線の中性点は接地インピーダンス $Z_{\mathrm{n}}$ で接地される。この接地インピーダンス $Z_{\mathrm{n}}$ の大きさや種類によって種々の接地方式がある。中性点の接地方式に関する記述として,誤っているのは次のうちどれか。
  1. (1) 中性点接地の主な目的は,1線地絡などの故障に起因する異常電圧(過電圧)の発生を抑制したり,地絡電流を抑制して故障の拡大や被害の軽減を図ることである。中性点接地インピーダンスの選定には,故障点のアーク消弧作用,地絡リレーの確実な動作などを勘案する必要がある。
  2. (2) 非接地方式($Z_{\mathrm{n}} \to \infty$)では,1線地絡時の健全相電圧上昇倍率は大きいが,地絡電流の抑制効果が大きいのがその特徴である。わが国では,一般の需要家に供給する 6.6[kV]配電系統においてこの方式が広く採用されている。
  3. (3) 直接接地方式($Z_{\mathrm{n}} \to 0$)では,故障時の異常電圧(過電圧)倍率が小さいため,わが国では,187[kV]以上の超高圧系統に広く採用されている。一方,この方式は接地が簡単なため,わが国の 77[kV]以下の下位系統でもしばしば採用されている。
  4. (4) 消弧リアクトル接地方式は,送電線の対地静電容量と並列共振するように設定されたリアクトルで接地する方式で,1線地絡時の故障電流はほとんど零に抑制される。このため,遮断器によらなくても地絡故障が自然消滅する。しかし,調整が煩雑なため近年この方式の新たな採用は多くない。
  5. (5) 抵抗接地方式($Z_{\mathrm{n}}$ =ある適切な抵抗値 $R$[Ω])は,わが国では主として 154[kV]以下の送電系統に採用されており,中性点抵抗により地絡電流を抑制して,地絡時の通信線への誘導電圧抑制に大きな効果がある。しかし,地絡リレーの検出機能が低下するため,何らかの対応策を必要とする場合もある。
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正解は(3)
解説
【考え方】中性点の接地方式は、電圧で使い分けます。直接接地は187 kV以上、抵抗接地は154 kV以下、6.6 kV 配電は非接地です。 ■1 (3) 直接接地方式 直接接地(抵抗0でつなぐ)は、故障のときの電圧の上がり方が小さいので、187 kV 以上の超高圧に使われます。 ただし、地絡電流(地面へ流れる電流)がとても大きくなり、通信線に悪い影響が出ます。 そのため、77 kV 以下の系統では、ふつう使いません。 「77 kV 以下でもしばしば採用」と書いているので、誤りです。 ■2 ほかの選択肢 (1) 中性点接地の目的と、選ぶときに考えることの説明です。正しいです。 (2) 非接地は地絡電流が小さく、6.6 kV 配電に広く使われます。正しいです。 (4) 消弧リアクトル接地は、地絡電流をほぼ0にできますが、調整が手間です。正しいです。 (5) 抵抗接地は、地絡電流をおさえて通信線への影響を減らします。正しいです。 答えは(3)ピヨ。
出典:平成22年度(2010) 第三種電気主任技術者試験(電気技術者試験センター)電力 問8